Vol.23 ハモン 代表 松村 佳依 氏

Vol.23 ハモン

ハモン

ハモン

https://hamorn.com

  • 社員の特徴を表すキーワード:磨かれた感性、オープンネス、自律遂行。
  • 会社のビジョンを表すキーワード:人から人へ愛を届ける。愛の総量を増やす。やさしい社会にする。
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:ビジョンへの強烈な共感。自律した人。

松村 佳依代表 松村 佳依 氏
プロフィール
ハモン代表/リレーションシップ研究家。神戸市出身、東京工業大学工学部卒。新卒で株式会社リクルートへ入社し、採用領域にて広告営業を経験。その後24歳の時に独立起業。「人と人のつながり」をテーマに、個人から大企業まで多数のプロデュースや空間演出を手掛ける。一児の母。

ハモンは世の中に愛の総量を増やすというビジョンを掲げ、人から人へ愛を届けるお手伝いをする会社です。普段、伝えたくても伝えられないでいる大切な人への愛や感謝の気持ち。そんなお客様の想いをお伺いし、おくりかたを提案し、実現しています。写真展や結婚式などの空間や、映像を扱っています。ハモンの松村代表に、事業の内容や起業に至る経緯などじっくり伺いました。

─ 事業内容について教えていただけますか。

世の中に愛の総量を増やすというビジョンを持っています。

人から人へ愛や感謝を伝えるお手伝いをする事業です。その一つに「おくりもの写真展」(https://photo.hamorn.com)というサービスがあります。このサービスは、大切な人へ、写真展という空間自体をおくるもの。会場を貸し切って、お相手とのこれまでの写真を展示し、写真展をつくります。そこにお相手を招待するというものです。一番大切にしたい身近な家族にさえ、伝えたい気持ちがあっても照れくさく、素直にありがとうと言えないことが多いと思います。写真展は、空間全体からその想いを伝えることができるため、気持ちを届ける新しい手段として評価されています。
先日実施したのは、親御さんの結婚記念日に、娘さんから写真展をおくったもの。ご家族のこれまでの関係性やエピソード、これからどうなっていきたいかなどを2、3時間ほどかけてじっくりじっくりお伺いします。それを元にコンセプトを提案するのですが、これはそのご家族だけの、世界にひとつだけのコンセプト。それを元に、会場選定や写真選定、プログラム設計、空間演出を進めます。コンセプトがすべての元になります。当日は会場を貸し切り、写真の一つひとつにメッセージを添え、準備した写真展に親御さんを招待しました。ご両親ともに感極まって涙されており、普段言えない想いも伝え合って、とても素敵なおくりものになっていました。家族の関係が一段深くなり、その後の生活においても互いを深く応援し合うようになったという感想をいただいています。

他には、旦那さんから妻へおくる写真展が人気です。例えば子どもの一歳の誕生日に行うもの。一歳の誕生日って、ママにとっても「ママになって一年、つまりママとして一歳」の記念日です。子育てで大変だった一年間の苦労を労い、感謝の想いを伝える写真展として、旦那さんからおくるのが素敵だと思います。会場の空間が、頑張っている奥さんの姿や、子どもが成長していく写真で埋め尽くされるのです。その場に居合わせた全員が涙と笑顔で一杯になります。

おくりもの写真展というサービスでは、このような人から人へおくる写真展を、インタビュー・コンセプト設計・会場選定・プログラム設計・サプライズ演出・現場の設営などすべて担当し、トータルでプロデュースさせていただいています。さらに、そのご家族のストーリーをそこだけに留めず、後日シェアしていきます。そうすることで、そのストーリーを知った別の方の心も温かくできると想うのです。自分も家族にお花を渡してみよう、ありがとうの一言を言ってみようという形でアクションが拡がっていく。それが愛を波紋させ、「愛の総量を増やす」というハモンのビジョン実現につながると考えています。
ご紹介した「おくりもの写真展」はハモンのサービスの一つで、他に婚礼プロデュースや映像制作なども手がけています。方法にこだわらず、誰かから誰かへの愛に溢れた空間を創り、それを世の中にシェアすることで、愛がいろいろな人に伝播し、波紋となって世界に広がっていく。それがハモンの実現したい世界です。

─ 今の事業に至るそもそものきっかけはなんですか。

私が一番大切にしたいのは何かに気づいたことです。

大学4年の時にバックパッカーでオーストラリアに滞在したことが原体験になっていると思います。ただ旅をする、語学留学するのではエキサイティングにならないだろうと思い、環境保護のボランティアに参加しました。それは国際的な組織で、集まったチームメンバーはなんとオーストラリア人、イギリス人、アメリカ人、そして私。しかも私は英語が全く話せませんでした。加えて生活環境は、自給自足のスタイルで、ガスも電気も水道もない。もちろん電波もない。朝起きて簡単に手も洗えないんですよ。生活用水は雨水を貯めて使います。日が沈んだら寝るしかありません。とても過酷でストレスフルな環境だったんです。
ところがそんな毎日が、幸せでたまりませんでした。なぜならチームメンバーがとても暖かく、心のつながりがあったからです。その時気づいたんです。生活が便利でなくても、モノなんて無くても、人と人とのつながりだけでこんなにも幸せを感じられるんだって。英語を話す時も私の理解に合わせてゆっくり話してくれたり、笑顔が素敵だねと褒めてくれたり、お互いの人生観をシェアしたりしました。本当に幸せな生活でした。
ところが、日本に帰ってきてみれば、日常はせわしなく過ぎていき、このとき感じたことをすっかり忘れていました。そしてある時、祖母の体調が悪くなったのですが、仕事が多忙で思ったとおりにお見舞いに行けなかったんです。そこで違和感を感じ、やっと思い出しました。私は「心のつながり」を大切にしたいと思っていたと。それができていない、優先順位を間違えているなぁと。このできごとがあって、整え直し、今があると思います。私自身が家族や友達とのつながりも大切にするのはもちろん、仕事においてもお客様と誰かとの心のつながりを大切にして生きていけるようなお手伝いがしたい。そう想い起業に至りました。
その想いを元に進んできて今があります。途中、仲間を失ったり、詐欺にあったり、失敗は数えたらきりがないですが、何を一番大切にしたいか、自分で分かっているから大丈夫。上手くいかなくても後悔がない。そう言い切れます。
ハーバード大学の研究でも、人生の満足度をあげる要因として人間関係、心のつながりが一番に挙げられていました。国籍や文化が違っても、一番大切にしたいものは人類共通なのです。海外でもおくりもの写真展をしたいと考えています。サバンナにイーゼルを置いて実施したいなぁ、とか、妄想したりします (笑)

─ これからどんな社風にしていきたいですか。

個性が引き出される場、互いの人生を応援し合う社風にしたいです。

社風と言えるかどうか分かりませんが、これまでスタンダードと考えられていた会社組織はもう限界だと思います。例えば副業ができないというのはもってのほか。もう今は個人が主役で、社員自身が自分の人生を選択していく時代です。ハモンは、いろいろな得意分野をもった人が入ってきて、それがハモンというやわらかな箱でうっすらと包まれており、みなをつなげるものは「ビジョン」である。そういう組織にしたいと考えています。そのために、社員を教育するというのは考えておらず、その人の個性を「引き出す」ことこそが重要である、それができる環境を整えたいと考えています。
現代はスキルの時代ではないと思います。様々なスキルがAIに代替される時代、ネットから情報が手に入り易い時代ですから。何が大切かといえば感性だと思います。採用するときにどんな感性を持っているのかを見極めたいと考えています。つまり右脳の領域です。でもそれってフワフワして分かりにくいですよね。採用の仕事をしていたのでよく分かるのですが、感性は履歴書等では分からない部分です。面接で見るのも難しい。だからハモンではインターンシップを活用しています。一緒に働くと見えてきます。面談はその前後に3回行います。1回目はスタンダートな面談で、2回目にこれまでの人生の浮き沈みを線でグラフ化した、「人生曲線」を準備してきてもらいます。人生をさらけ出す面談です。その人にはどういうバックグランドがあって、幸せの絶頂ではどういうできごとがあって、その時に何を感じていたかを聞きます。そうすることでその方の人間性が見えます。2回目と3回目の間にインターンシップの期間を設け、3回目ではこちら側の話をします。私自身弱音もはくし、現状の経営課題も晒け出します。リーダーが本音で話せば話すほど、チームがまとまるというのが持論です。
働き出してからは、仕事はもちろんですが、その社員の人生全体を応援したいと考えています。仕事と人生は切っても切れません。仕事の満足度が高いと人生の効用も上がる、逆も然りだと考えています。仕事に閉じて関係をつくる意味などありません。なので社内は大変アットホームです。人生全体を応援し合い切磋琢磨するチームでありたいと考えています。

─ 求める人材像はいかがですか。

ハモンのビジョンに強烈に共感することが条件です。

ハモンの理念にはほとんどの人が共感してくれるのですが、それを自分の生活に実際に取り入れているか、できていなくてもやろうと工夫しているかなどを見極めたいと思っています。万人に好かれる理念だからこそ見極めが難しいのですが、そこは面談やインターンシップを活用して、心底強烈に共感しているかどうか確認しています。
また、1人でPDCAを回す、自律遂行型の人を求めています。贅沢な環境はまだ提供できないので、自分自身で企画実行でき、それを振り返って次ぎに行ける人です。自分の成長を阻害するようなプライドがないというのも大切です。経験から学びスポンジのように吸収して欲しいからです。

─ 最後に学生へのエールをお願いします。

誰にとっての幸せなのか、誰のための人生なのかを見つめた選択をしてください。

大半の学生は社会人になることへの不安にかられてか、焦って動いている印象です。行きたくないのにインターンシップに参加する、したくないのに企業研究をする。そういうのは上手くいかないものです。就職活動以外に他にやりたいことがあるのであれば、そこに熱中した方がその分いろいろなことが学べるし、そこで得た学びは人生にとって財産になります。とことんやりたいことに時間をかけてください。
一方で、やりたいことがない方は、そっちの方が当たり前なので、それも焦らなくていいと思いです。昔ほど単純に自分の道を決められる時代ではありません。今は情報がありすぎますので。やりたいことがないことをネガティブに捉える必要は全くないと思います。なんとなくこっちという感性、なんとなく惹かれるという方向に行けばいいし、立ち止まりたければ立ち止まればいいと思います。私の場合も大学卒業時は何をしたいか全く分からなかったのですが、就職して仕事をする中で、これはうれしい、これはいやだとか、これはくやしい、これはどうでもいいという感情が生まれ、それを整理していくうちに、これがしたいという今の道が見えてきたんです。
大切なのは、「主語が誰なのか」。誰にとっての幸せなのか見つめることです。世間的にみて就職した方がいい、給与が高い方がいい、人気業種の方がいい。それって本当?誰にとっての人生なのか。自分の本当の気持ちは潜在意識の中にあり、自覚化できていないことも多いです。とことん自問自答し、考え抜いてください。

インタビューを終えて

とても落ち着いた優しい話し方の一方で信じられないくらいの強さを感じたインタビューでした。自分にとって大切なことは何かを徹底的に問いつめて掴んでいるとそれ以外は潔く捨てることができる。仕事が心の奥底にある自分の幸せ観とつながっていること。共感とともに内省を迫られる想いがしました。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏