Vol.22 株式会社Empath 代表取締役 下地 貴明 氏

Vol.22 株式会社Empath

エンパス

株式会社Empath

https://webempath.com/jpn/

  • 社員の特徴を表すキーワード:多様性、フリー、フラット、オープン
  • 会社のビジョンを表すキーワード:感情理解を支援するAI、ボイスコマース、メンタルヘルス
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:自分の武器を磨いている、自学自習できる

下地 貴明代表取締役 下地 貴明 氏
プロフィール
2006年 早稲田大学教育学部卒。スタートアップ企業でSEやプロジェクトマネージメントの経験し、経済産業省「情報大航海プロジェクト」への参画。2011年 スマートメディカル株式会社 ICTセルフケア事業部長就任。音声気分解析技術「Empath」の研究開発を行う。2017年 スマートメディカル株式会社からスピンオフした株式会社Empathの代表取締役に就任し、アフェクティブコンピューティング領域におけるEmpathのビジネス活用を推進している。

株式会社Empathは音声の感情解析ができるAI技術「Empath」を持つテック企業です。言語に依存しない感情解析が可能なことから、世界から注目されています。Amazon EchoやGoogle Homeなどのスマートスピーカーの発売がこれを後押しし、ボイスコマースでの活用が見込まれています。スタートアップ企業が事業プレゼンを競う世界的なコンテストすでに5ヶ国で優勝という実績があり、今後の飛躍的な成長が期待されています。下地代表に、事業内容やビジョンを伺いつつ、学生への応援メッセージをいただきました。

─ 事業内容について教えていただけますか。

人の声から感情を解析するAI技術「Empath」を提供しています。

「Empath」は、人が話している音声のトーンやピッチなどの物理的な特徴を解析して喜怒哀楽の感情と元気度を視覚的に表すことができます。
具体的には、喜びや快活さは黄色で、平常は緑色で、怒りや強い主張は赤、悲しみや戸惑いは青で、加えて元気度を折れ線で、スマホやパソコンの画面にリアルタイムにグラフとして出力します。
この技術を使った最初のプロジェクトは、東日本大震災の被災地で働く支援員のメンタルヘルスのケアでした。支援者の音声を解析することで体調を察知し、優れない場合には早めに休みを取らせたり、産業医との面談をセッティングしたりするなど心の健康管理に貢献できました。メンタルの状態を本人はもちろん第三者が把握しサポートすることが可能になったのです。
これは様々なビジネスに展開する契機になりました。従業員のメンタルヘルスチェックですでに活用している企業があります。また、テレマーケティングの現場を例にあげれば、オペレーターの元気度が高いほど売上が高いこと、元気度が下がっていく傾向が一月続くと翌月離職するリスクがあることが分かりました。また、お客様が買った時の音声と買わなかった時の音声の違いを解析してみると、購入を決める直前は悲しみが混じっていること、本気で購入を悩み始めていることが分かりました。リアルタイムに感情の変化が分かるので、タイミングを逃さず背中を押すセールストークができるようになり、成約率が20%上がったという成果を出しています。変わった事例では、アラブ首長国連邦(UAE)の政府にこの技術を提供しています。UAEは内閣に幸福担当国務大臣を置くほど国民の幸福度向上を国家課題に掲げています。国民の幸福度の実態把握に役立てていただいています。

─ 凄い技術ですね。発想のきっかけはなんですか。

世界中の人がお互いを思いやる世界を創りたい。

という素朴な想いがあります。コミュニケーションは、言葉の内容のやり取りだけではないですよね。期分や感情がすれ違うと、ケンカになったりします。上司と部下の会話で、どんなに上司が熱くなっていても部下がその感情を受け止めていないというのはよくあることです。お互いの感情の理解をサポートできないかと考えたのが発端だと思います。

─ 起業への想いは以前からあったのですか。

鶏口牛後という想いはいつも強く持っていました。

私は、もともと(株)エンパスの親会社に当たるスマートメディカル(株)のICT事業部の部長を務めていました。事業部をそのまま子会社にしたわけです。それ以前も、スタートアップ企業を転々としながら、最終的には企業を目指していました。
鶏口牛後という言葉が信条で、小さな会社でもトップに立ちたいという想いがいつもありました。自分の意思で自分の仕事をコントロールできる立場にいたい。下の立場でいることで、自分で責任を負いきれなくなることや、判断が遅くなることが嫌なんだと思います。遡れば、親との価値観の違いに苦しみ、自分の道を親に決められたくないという想いから、自分で考えぬき意見ははっきり伝えるという力が身についたのかもしれません。

─ 今後のビジョンについて教えてください。

スタートアップ企業として成功したいという強い想いがあります。

メンタルヘルスの領域から入りましたが、テレマーケティングへ展開しました。次はスマートスピーカーへの活用にジャンプさせていきたいというのが当面の目標です。言語に依存しない「Empath」はグローバルかつ様々な事業領域に展開できると考えています。このAI技術がロボットや自動車へ搭載されれば、人間の感情状態を把握し寄り添うような応答することが可能になるでしょう。現在も様々な企業と協働していますし、すでに世界40か国500社以上で使用されています。世界的なテックカンファレンスのコンテストにもチャレンジし、すでに5ヶ国で優勝しています。
海外も視野に入れて展開しているところが弊社の特徴です。近い将来、Googleやamazonのスマートスピーカーに採用されて飛躍的に企業価値が高まったらうれしいですね。

─ 最先端の技術開発に取り組んでいる様子ですね。どんな社風ですか。

多様性を大切にするフリーでフラット、オープンな組織です。

現在13人のメンバーでやっています。アフェクティブコンビューティング(AIに人の感情を理解させる技術)やデータサイエンス、ディープラーニング、マシンラーニングなど最先端のAI技術を学んでいるエキスパートが集まっています。フランスやオランダからの参加もあります。
メンバー全員が自律し進む方向を共有しながら動いていく組織です。裁量はそれぞれに譲渡して、やるって言ったらやってね、やりたいと言えばやらせてあげるという感じです。フリーでフラット、オープンな雰囲気で、ティール型組織(上下の階層を持たない組織)を目指しています。特に多様性の受容は大切にしているポイントで、社員1人ひとりのパーソナリティや価値観は資源だと考えています。毎週のチームミーティングと毎月の全体ミーティングは欠かせません。これはこうだと私から決めつけず様々なアイデアの可能性を潰さない、メンバーから優れたアイデアが出ればフレキシブルに選択できる状態を保とうと意識しています。自分たちの夢を描ける場所を守るのが私の役割だと考えています。

─ 超エキスパートが集まっている様子で聞きにくいのですが、求める人材像はいかがですか。

自学自習で自分の武器を磨いてきた人が欲しいです。

求人については媒体にWANTEDLYを活用し、尖った技術で世界を目指している日本のスタートアップ企業であることを前面に打ち出しています。興味を持って応募してきた方と面談します。エンジニアだけでなく、営業や事務も募集しています。現在は、実績のある方が主な採用対象なっていますが、学生でも研究室に所属していて自分の武器になる知識やスキルを磨いている人、活かしたいと思っていたら大歓迎です。
一つでもこれで戦うぞという武器を持っている人材は、すぐにそれが会社の役に立たなくとも組織を強くします。自分の武器を磨いてきている人は、磨いている人を見極める能力が付いています。それをお互いに「スゲェな」と称え合う関係性ができる、多様性を認めることができる、そんな組織を目指しています。

─ 学生へのエールをお願いします。

ひとつでいい。これは自分の武器だと思えるものを見つけて磨こう。

学生時代に、自分の磨くものを見つけられたらいいけど難しいですよね。人は他人の目を気にしてついつい周りに合わせてしまいがちです。ほどほどに目立たないように。安心を見つけようとしてしまいがちです。一緒に頑張れる仲間がいたら良いのですが、友達のことは後回しにしても、自分だけでも見つけようという気持ちは大切にしてください。磨いてきたものを持っている人には特別な魅力があります。
今こうなっている自分は大学の時に想像できませんでした。
私自身、大学時代の数多くの失敗や無駄が肥やしになっていると感じることがあります。急性アルコール中毒で道の真ん中でひっくり返って救急車で運ばれたこともあります。だいたい教育学部の国文学で日本文学や心理の勉強をやっていたのです。今の仕事とはほとんど関係ありませんし、今の仕事を想像もできませんでした。バンドを組んでベースに夢中になったり、真面目に小説家になりたいと思って小説を書いたりしていました。失敗も無駄も数えあげたらキリがありません。でも一方で、人間として魅力な人ほど、学生時代、無駄なことや多くの失敗をしていることに今になって気づきます。なんでもいい、より楽しいそうなこと、より本気になれそうなものにどんどん首突っ込んでとことん楽しんでください。

インタビューを終えて

下地社長は世界から注目されている最先端のAI技術を持っているというのに、信じられないくらい飄々としていて、実現したいことに向かってぶれずに向かっているという印象を持ちました。指示待ちの人にどう主体的になってもらうかという話では、マネージメントの問題という結論になりました。主体性を引き出す場、学生が知らぬ間に夢中になって頑張っている状況を創出するのが自分の仕事なのだと振り返りました。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏