Vol.16 株式会社エクス 代表取締役 抱 厚志 氏

Vol.16 株式会社エクス

株式会社エクス

https://www.xeex.co.jp

  • 社員の特徴を表すキーワード:自由闊達、自立・自律・自走、やってみたいことはすぐにトライ
  • 会社のビジョンを表すキーワード:一人ひとりのEX、モノづくりをITで支える
  • 入社して欲しい人に期待するキーワード:学び成長し続ける力、周りも元気にする

抱 厚志 氏代表取締役 抱 厚志 氏
プロフィール
同志社大学文学部を卒業後、三菱事務機械株式会社へ入社。10年間多くの生産管理システム構築に従事。平成6年に現在の株式会社エクスを設立、同社の代表取締役に就任。「生産管理システム構築はソフトウェアを道具として駆使し、企業活動を最適化するための全社的な仕組の改編を行う事である」 をモットーに、生産管理システムの構築支援を行う。講演会活動、執筆活動にも精力的。他にNPO法人関西を元気にする会 副理事長を務めている。

製造業は、IoT(Internet of Things)や3Dプリンタ、人工知能などのITによって大きな変革の時期を迎えています。株式会社エクスは、抱社長の日本のモノづくりをITによって支援したいという想いによって起業されました。製造業の基幹システムとなる生産管理システム「Factory-ONE電脳工場」をリリース。これまでに国内外で1600本を超える導入実績があり、生産管理システムのシェアでは国内第2位を誇ります。抱社長に会社のビジョンや事業への想い、人への想いを伺いました。

─ 大手企業を辞めてまで起業にいたった想いを教えてください。

日本のモノづくりをITで支えたいという想いからです。

若いときから自分で起業したいという気持ちがありました。実家が商売をしていたことが影響しています。いつかは父を超えたいという想いから、大学時代には輸入品の販売などをしていたこともあります。その頃これからはITの時代だという雰囲気がありました。大学は文学部でしたが、将来を考えて、エンジニアとしてITスキルが身につきそうな会社に就職しました。
当初は5年で辞めようと考えていたのですが、居心地が良くて10年経ってしまいました。そのサラリーマン時代、私は生産管理のシステム開発に携わっていたのですが、バブルの崩壊以後、モノづくりの現場がどんどん廃れていくのを目の当たりにします。歴史的にみると明治以降の日本の経済発展を支えてきたのは間違いなくモノづくりです。日本は、資源大国にも物流大国にも金融大国にもなれません。この危機をなんとかしたいという想いが強くなりまして、ITを使えば日本のモノづくりを側面から支援ができるのではないかと考えたのが起業の動機であり、エクスの原点です。

─ 文学部なのにITの道を選び、さらに起業。震災による倒産の危機からの脱出と驚くばかりですが、どんなビジョンをお持ちでしょうか。

ITの分野で次世代の担い手を育てること。社会にイノベーションを起こすこと。

事業をこれまで続けてこられたのは、多くの先輩からの教えがあり、社会から恩を受けたからです。この恩はしっかり返さなくてはいけない。まず、考えたのは次の社会を担う人材の輩出です。私ができるのはITや生産管理の分野の優れた人材を育成することです。これまで受けた恩を次の時代に返してく、その連鎖を創り出したいと考えています。次ぎに社会にイノベーションを起こすことです。ITの世界は可能性に満ちていて面白い。AI、IoT、RPA、ロボティクス、量子コンピュータ、次々と新しい技術が実現していく時代です。2年後にIPO(株式公開)を計画しています。IPOで資金を集めたら、実現したいITのサービス構想で頭がいっぱいです。

─ 聞いている私も勇気づけられました。会社の雰囲気も元気に溢れていますね。

自由闊達な雰囲気、仕事は楽しくやる。やりたいことはすぐにトライする風土です。

社風を一言で言えば、自由ですね。風通しが良く、明るい会社です。無意味なヒエラルキーがなく、非常に人と人の距離が近い人間的な組織で、コミュニケーションが活発だからでしょうか。言いたいことを言い合える自由闊達な風土なので、例えば、誰かがやってみたいことがあったら声かけ合ってすぐに新しいサークルが産まれます。最近ではレゴでロボットを創るサークルができました。女性社員がハンダ付けしていたりします。ロボットやIoTなどサークルで楽しみながら詳しくなる。仕事は楽をするのではなく、楽しく取り組むがモットーです。
弊社の名前の「EX」は、英単語の接頭辞のEXです。EXを接頭辞とする単語は500ぐらいあります。例えば、excite(知的興奮)、excellent(卓越)、expert(熟達)、explores(探究)、expand(発展)などがあり、語源的には「外へ」「徹底的に」といった意味がEXにはあるらしい。弊社はこのEXに一人ひとりの可能性という意味を重ねました。社員一人ひとりが自分のEX、テーマを見つけ、伸ばしていこうという思いです。そしてお客様のEXに貢献していこうという理念を表しています。
ですから、常々社員に「本業の先の先を見なさい」と伝えています。今している本業の仕事以外にも未来に向けたテーマを持とうね。そして、「やりたいことは仕事に優先させよう」とまで言うこともあります。やりたいことはタイミングを計っていたらできなくなってしまうものです。仕事のスケジュールは調整できます。仕事を言い訳にやりたいことをやらないのは、調整能力や自己管理能力がないのではないかと疑います。このような風土で、仕事は大丈夫かと思われるかもしれませんが、仕事上の一定のコアになるルールは決めながらも、自ら立つ、自ら律する、自ら走るという主体的に仕事をするということに価値を置いています。ゴールに到達できれば、方法は自分で決めれば良いわけです。

─ 文字通り、徹底していて社員に対する信頼を感じますが、でも難しそうです。どうしてそんな風土ができたのでしょうか。

I can! You can! We can!

みんな、一緒にやろう! 一緒ならもっとできるぜという姿勢です。
以前は、組織をリードしていく方法は下から押し上げる方法と上から引っ張り上げる方法の2つだと考えていました。下から押すというのは、ノルマを課すとか、このままでは会社が潰れるぞと危機感を煽ることです。がんばろうという尻たたきですね。それだけではしんどいから、上から引っ張る。ビジョンや理念を掲げてその理想に向かわせることです。しかし、これが大きな間違いでした。
足りなかったのは、一緒にやろうという姿勢で、川上と川下だけではなくて、川中に共に立つということでした。「I can! You can! We can!」一緒にやろうぜと社員に声を上げられた時に一体感、充実感を感じられました。トップから「We can! We do!」を言葉にして伝えることの重要性に気づきました。

─ 頭が下がる思いです。人材育成についてのお考えを伺えますか。

内側と外側の両方を育む。エバンジェリストを目指す。

人材育成の基本的な考え方には、技術的な教育と人間的な教育があり、これを内側と外側として意識しています。
外側については「外に開きなさい」と言っています。社内だけでなく外側にも自分のコミュニティを作ろう、できるだけ外に出かける機会を持とうと働きかけています。社員をイベントや社長交流会に連れて行くこともあります。外からの刺激を受けることで、学びや成長は加速すると考えています。
内側としての技術教育ですが、会社が教育プログラムを作ってこの研修に出なさいという強制はしません。教育プログラムを準備した上で、やりたい人は手を挙げてくださいという姿勢です。最近ではAI開発に必要なプログラム言語の教育プログラムを用意しました。興味のある社員が自ら手を挙げて参加します。自ら手を挙げるということは、意欲があって主体的、それを仕事に活かしていこうとする責任感も産まれます。
常々、エバンジェリストを目指そうと発破をかけます。エバンジェリストというのは伝道者という意味で、その道で突出した知識やスキルを持っていて、それを世界に広く伝えることができる権威者のことです。第一人者になって、外で講演したり本を出したりするのはまったく構わないし、積極的に挑戦して欲しいことです。会社として副業も認めています。働き方改革は生き方改革でもあり、自分の生きている価値観を刷新していかなければならないのではないでしょうか。

─ 求める人材像はハードルが高そうですが。

学歴は問いません。自ら成長し周りにも好影響を与えられる人を求めます。

大学名では選びません。ただ、一定水準以上の大学受験に合格したということは、自分と向き合ってきたということだと思います。自分の実力を客観的に評価し、さらにどうすれば成長できるのかを自分で考えて努力してきた経験は評価しますが、だからといって大学でふるいにかけることはしていません。
条件をつけるとすれば、現状維持を容認しない人です。自分の限界を自分で決めてしまわない人です。それでは自分で自分の成長を止めてしまいます。
ではどういう人を求めているかですが、6Kが出来る人を評価します。6Kというのは、感じる、考える、計画する、行動する、検証する、共有する、の6つの要素で、自らこの6つを意識してできる人は、人間的に成長し続けられる人であり、周囲にもポジティブな影響を与えられる人だと考えています。
自分のことをラッキーと言える人も良いですね。ラッキーと言える人は、周囲に感謝の気持ちを持っていると感じます。とうぜん周りは明るくなります。反対にアンラッキーだという人は、周囲に対して不平不満を溜め込む傾向があり、それは周囲にも悪影響を与えます。
まとめれば、学び続けられる人、成長し続けられる人ということになります。学問という言葉を分解すると、「学ぶ」プラス「問う」です。学んで吸収するということと、外に意識を持ち、なぜを問うことの2つのバランスを大切にしてください。
求人については弊社ホームページに詳しく紹介していますので、是非ご覧ください。入社希望があれば誰とでもお会いしますよ。

インタビューを終えて

抱社長の一言一言には確かな説得力と教養がありました。それにも関わらず常に謙虚な話し方に、心から頭が下がる思いがしました。誌面の関係で割愛したエピソードも多く残念なのですが、1つだけ補足します。社長は深夜の時間を自らの勉強の時間に充てていて、合格した資格が39もあるとのこと。最近は数学検定の2級に合格し、苦手を克服できたことで物理の本も飛ばさずに読めるようになったことを嬉々とした表情でお話しされました。
学び続けることが、いかに人生を豊かにするのかを思い知らされましたし、それが社風として社員一人ひとりに息づいていることに愕然とするお話でした。学生に社長の声を直接届けたいという希望を伝えると、快い返事をいただています。ご期待ください。

発行人:一般社団法人プレミア人財育成協会 代表理事 勝亦 敏